歯の麻酔が効いている時間は、使用された薬剤の種類や量、個人の体質、さらにはその日の体調によって大きく左右されますが、一般的には1時間から3時間、長い場合には6時間ほど続くこともあります。この痺れている時間を1分でも短縮するために、私たちが日常生活の中で無理なく実践できる工夫がいくつか存在します。まず最も手軽な方法は、顔の筋肉を軽く動かすことです。麻酔が効いている側を意識しながら、ゆっくりと口を動かしたり、頬を膨らませたり凹ませたりする運動を繰り返すことで、周辺組織の血行が良くなり、麻酔成分の代謝が促進されます。ただし、麻酔が効いている間は自分の頬や唇を誤って強く噛んでしまうリスクが非常に高いため、決して無理な動きはせず、鏡を見ながら慎重に行うことが大切です。また、全身の代謝を上げるという観点から、適度な水分補給も有効です。水や麦茶など、カフェインやアルコールを含まない飲み物を少しずつ摂取することで、血液の循環が促され、麻酔薬が肝臓へ運ばれる速度が高まります。ただし、この際も口元の感覚がないため、コップから直接飲むとこぼしやすく、また熱い飲み物は火傷に気づかない恐れがあるため、常温の飲み物を選ぶのが賢明です。さらに、意外と知られていないのが、軽い散歩などの緩やかな運動です。激しい運動は傷口に悪影響を及ぼしますが、家の中を歩き回る程度の動きであれば、全身の血流が改善され、麻酔の消失を早める一助となります。一方で、麻酔を早く切らしたいからといって、患部を強く揉んだりマッサージしたりすることは避けるべきです。強い刺激は組織を傷つける可能性があり、特に外科的処置の後では再出血の原因になります。麻酔が切れる過程で、痺れがピリピリとした感覚に変わってくることがありますが、これは神経の機能が回復している証拠です。この段階で、慌てて食事を摂ろうとすると、感覚が不完全なために口内を傷つけたり、味が分からず満足に食べられなかったりするため、完全に痺れが取れるまで待つのが理想的です。もし、仕事や重要な予定があってどうしても早く喋らなければならない場合は、歯科医師に相談して、麻酔を中和させる薬剤であるオラバースなどの使用が可能かどうかを確認しておくのも一つの手ですが、これは全ての歯科医院で導入されているわけではありません。結局のところ、自分の身体の代謝機能に頼る部分が大きいため、リラックスして過ごし、血行を妨げないようにすることが、不快な時間を最小限に抑えるための王道と言えるでしょう。
歯科治療後の麻酔を安全に早く切らすための日常生活のコツ