口の中を噛んでしまい、白い口内炎ができた時の最大の悩みは、何と言っても「食事」です。空腹なのに、食べ物が傷口にしみるのが怖くて、食べるのが億劫になってしまう。しかし、食事を抜いてしまうと、体の栄養が不足し、かえって治りが遅くなるという悪循環に陥ってしまいます。こんな時こそ、食事の内容を少し工夫することで、痛みを和らげ、傷の回復を早めることができるのです。食事のポイントは、「守り」と「攻め」の両方を意識することです。まず、「守りの食事」とは、傷口を刺激しない、優しい食事のことです。避けるべき食材のリストを頭に入れておきましょう。①香辛料(唐辛子、胡椒、カレー粉など)、②酸味の強いもの(レモンなどの柑橘類、酢の物、トマトなど)、③塩分の濃いもの(醤油、ソース、味噌など)、④熱すぎるもの(熱々のスープや飲み物)、そして⑤硬いもの(煎餅、ナッツ、揚げ物の衣など)。これらは、弱った粘膜に直接的なダメージを与え、激痛を引き起こす「食事の地雷」です。代わりにおすすめなのが、おかゆや雑炊、冷たいポタージュスープ、具のない茶碗蒸し、豆腐、プリン、ヨーグルト、バナナなどです。温度は、人肌程度か、少し冷たいくらいが最も刺激が少なくて済みます。次に、「攻めの食事」とは、傷の回復を積極的にサポートする栄養素を摂ることです。粘膜の修復に最も重要なのが、「ビタミンB群」、特に「ビタミンB2」と「ビタミンB6」です。これらは、皮膚や粘膜の新陳代謝を促し、細胞の再生を助ける働きがあります。ビタミンB2は豚肉やレバー、うなぎ、卵、納豆に、ビタミンB6は鶏肉やマグロ、カツオ、バナナなどに多く含まれています。これらの食材を、例えば、ひき肉にして卵とじにしたり、レバーペーストにしたりと、柔らかく食べやすい形に調理して摂るのが良いでしょう。また、免疫力を高め、コラーゲンの生成を助ける「ビタミンC」(じゃがいも、ブロッコリーなど)や「亜鉛」(牡蠣、牛肉など)も、回復を早める上で効果的です。痛い時こそ、賢く食べて、体の中から治す力を高めていきましょう。