うっかり口の中を噛んでしまい、白い傷、つまり口内炎ができてしまった時。その後のケア次第で、治るまでの期間は大きく変わってきます。ここでは、痛みを悪化させず、一日でも早く快適な口内環境を取り戻すための、正しい対処法を段階的にご紹介します。まず【噛んでしまった直後】の応急処置です。最初にすべきことは、清潔な水か、ぬるま湯で優しく口をゆすぐこと。傷口についた食べかすや細菌を洗い流し、感染のリスクを減らします。この時、刺激の強い洗口液は避けましょう。出血がある場合は、清潔なガーゼなどを小さく丸めて傷口に当て、5分ほど軽く圧迫すれば、ほとんどの場合は止まります。次に【白い傷ができてから】のセルフケアです。ここでの鉄則は、①刺激しない、②清潔に保つ、③回復を助ける、の三つです。①刺激しない:これが最も重要です。治りかけの白い膜(フィブリン膜)を舌や指で触らないこと。食事は、香辛料、酸っぱいもの、熱いもの、硬いものを避け、柔らかく、人肌程度の温度のものを選びましょう。②清潔に保つ:口の中は細菌の宝庫です。食後は必ず歯磨きをしましょう。ただし、歯ブラシが患部に当たらないよう、細心の注意を払ってください。歯磨き粉も低刺激性のものがお勧めです。③回復を助ける:粘膜の修復には、ビタミンB群、特にビタミンB2とB6が不可欠です。豚肉やレバー、卵、納豆などを食事に取り入れましょう。また、体の免疫力を高めるために、十分な睡眠をとり、ストレスを溜めないことも大切です。市販薬を上手に使うのも一つの手です。痛みが強い場合は、患部に直接塗るタイプの軟膏や、傷口を物理的に保護してくれるパッチ(貼り薬)タイプの口内炎治療薬が有効です。これらは、食事の前に使うと、しみる痛みを和らげる効果も期待できます。これらのセルフケアを実践すれば、通常1〜2週間で傷は快方に向かいます。しかし、2週間以上たっても治らない、痛みがどんどん強くなる、あるいは傷が大きくなっていくような場合は、単なる口内炎ではない可能性も考えられます。その際は、自己判断で放置せず、必ず歯科医院や口腔外科を受診するようにしてください。