口の中を噛んでしまうと言っても、その場所は人によって様々です。頬の内側を噛む人もいれば、唇を噛む人、そして舌を噛む人もいます。実は、この「噛む場所」によって、その背景にある原因もある程度推測することができ、対策も異なってきます。まず、「頬の内側」を頻繁に噛んでしまう場合。これは、最も一般的なケースです。原因として最も考えられるのは、加齢や体重増加による頬のたるみや脂肪の蓄積です。また、奥歯の歯並びが内側に傾いていたり、噛み合わせが深すぎたりすることも、頬の肉を巻き込む原因となります。対策としては、頬の筋肉を鍛える「あいうべ体操」などのエクササイズや、体重コントロールが有効です。歯並びが原因の場合は、歯科での噛み合わせ調整や、矯正治療が根本的な解決策となります。次に、「唇」、特に下唇を噛んでしまう場合。これは、上の前歯が下の前歯に比べて、極端に前に出ている「出っ歯(上顎前突)」の人に多く見られます。食事の際などに、下の唇が上下の前歯の間に挟まりやすくなってしまうのです。また、ストレスや緊張から、無意識に唇を噛む「咬唇癖(こうしんへき)」がある場合も考えられます。対策としては、出っ歯が原因であれば、矯正治療が最も効果的です。癖が原因の場合は、意識的に唇を噛まないように心がけると共に、ストレスの原因と向き合うことが大切です。最後に、「舌」を噛んでしまう場合。舌の側面を噛むことが多いですが、これは、下の歯並びがデコボコしていたり、舌側に傾いていたりする場合に起こりやすいです。また、舌そのものが、歯のアーチに比べて大きい「巨大舌」の場合や、加齢などで舌の筋力が低下し、舌がだらんと広がっている場合も、歯の間に挟まれやすくなります。対策としては、歯並びが原因であれば、歯科での調整や矯正治療が必要です。舌の筋力低下に対しては、「舌回し体操」など、舌の筋肉を鍛えるトレーニングが有効です。このように、あなたが噛んでしまう場所を特定することで、より効果的な対策が見えてきます。もし、原因が自分では判断できない場合は、歯科医師に相談し、専門的な視点からアドバイスをもらうのが良いでしょう。