-
口の中の赤い斑点と白い斑点。色の違いでわかること
口の中をセルフチェックしている時に、何らかの「できもの」を見つけると、不安になるものです。その「できもの」の色は、その正体を推測する上で、非常に重要な手がかりとなります。ここでは、口の中にできる代表的な病変を、「赤い斑点」と「白い斑点」に分けて、それぞれの色の違いが何を示唆しているのかを解説します。まず、「赤い斑点」が見られる場合。これは、主に「血管」や「血液」に関連する状態を示しています。①炎症:口内炎の初期段階や、歯周病で歯茎が腫れている時など、組織が炎症を起こすと、その部分に血液が集まってくるため、赤く見えます。②出血:硬い食べ物が当たったり、歯ブラシで傷つけたりして、粘膜の下で内出血が起こると、点状の赤い斑点(点状出血)として現れます。③血管の増殖・拡張:良性の血管腫なども、赤い斑点や盛り上がりとして見られます。④粘膜の萎縮:舌の表面の乳頭が萎縮すると、その下の血管が透けて見えるため、舌が赤くつるつるに見えることがあります。そして、最も注意が必要なのが、⑤紅板症(こうばんしょう)です。これは、痛みも凹凸もない、鮮やかな赤い斑点で、がん化するリスクが高い前がん病変です。次に、「白い斑点」が見られる場合。これは、粘膜の表面に何かが「付着」しているか、あるいは粘膜自体が「変化」している状態を示しています。①フィブリン膜:口の中を噛んだ後などにできる、傷口を保護するかさぶたのようなものです。正常な治癒過程で見られるもので、心配はいりません。②口腔カンジダ症:カンジダというカビの一種が増殖したもので、こすると取れる白い苔のような付着物です。③白板症(はくばんしょう):こすっても取れない、白い板状の病変です。これも、紅板症と同様に、がん化する可能性のある前がん病変です。④扁平苔癬(へんぺいたいせん):レース模様のような、白い線状の模様が頬の粘膜などに見られる、免疫系の異常が関与するとされる病気です。このように、色を手がかりにすることで、ある程度の推測が可能になります。しかし、これはあくまで目安です。赤と白が混在している場合や、見た目だけでは判断が難しいケースも多々あります。色の違いをセルフチェックの一助としつつも、最終的な診断は、必ず専門家である歯科医師に委ねることが賢明です。