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  • かかりつけ歯科医から口腔外科へ。スムーズな連携の重要性

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    虫歯や歯周病の治療で、いつもお世話になっている、近所のかかりつけの歯科医院。そこは、私たちの口の健康を守る、最も身近で頼りになる存在です。しかし、時には、そのかかりつけの先生から、「この症状は、より専門的な検査や治療が必要なので、大学病院の口腔外科を紹介しますね」と言われることがあります。この時、患者さんの中には、「見放されたのだろうか」「面倒な患者だと思われたのかな」と、不安に感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、それは全くの誤解です。この「紹介」という行為は、実は、あなたのことを第一に考えた、非常に誠実で、責任感のある対応なのです。かかりつけの歯科医は、あなたの口の中の状態を、誰よりもよく知っています。日々の診療の中で、虫歯や歯周病といった一般的な病気は、責任を持って治療してくれます。しかし、その専門的な知識と経験から、「これは自分の手には負えない、より高度な専門性が必要なケースだ」と判断する場合があります。例えば、親知らずが神経のすぐ近くにあり、抜歯のリスクが高い場合や、口の中にできたできものが、悪性の可能性を否定できない場合などです。このような時に、無理に自分の医院で治療を完結させようとするのではなく、それぞれの分野のスペシャリストである口腔外科医に、診断と治療を委ねる。これこそが、患者さんにとって、最も安全で、最も質の高い医療を提供するための「最適な連携プレー」なのです。かかりつけ医は、口腔外科に患者さんを紹介する際に、「紹介状(診療情報提供書)」を作成します。そこには、これまでの治療経緯や、病状、レントゲン写真などの情報が、詳細に記載されています。これにより、口腔外科の医師は、初めて会う患者さんの状態を、スムーズに、そして正確に把握することができ、無駄のない検査や診断につなげることができます。治療が無事に終われば、今度は口腔外科から、かかりつけ医へと、治療内容の報告がなされます。そして、その後のメンテナンスや、他の歯の治療は、また、かかりつけの歯科医院で継続していくことになります。このように、「歯科」と「口腔外科」は、お互いの役割を尊重し、緊密に連携することで、一つのチームとして、あなたの口の健康を生涯にわたって支えてくれるのです。