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  • 口の中を噛んだ跡が白い!その正体は心配ない「かさぶた」です

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    食事中にガリッと頬の内側を噛んでしまった時、その瞬間的な痛みに思わず動きが止まります。そして翌日、鏡で見てみると、噛んだ場所が白くなっている。「これは何だろう?化膿しているのではないか?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。しかし、多くの場合、この白いものの正体は、心配する必要のない、口の中の「かさぶた」なのです。皮膚の怪我をした時にできる茶色いかさぶたとは見た目が違うため戸惑いますが、その役割は全く同じです。この白い膜の正体は、「フィブリン膜」と呼ばれるものです。フィブリンは、血液に含まれるタンパク質の一種で、出血を止め、傷口を保護する働きがあります。口の中を噛んで傷ができると、まず出血が起こり、血液が固まって「血餅(けっぺい)」という血の塊ができます。その後、この血餅の表面から赤血球などの色の成分が洗い流され、線維状のタンパク質であるフィブリンだけが残ります。これが、私たちの目には白い膜として見えるのです。口の中は常に唾液で潤っているため、皮膚のように乾燥した硬いかさぶたにはならず、湿潤な環境で白く柔らかい膜を形成します。このフィブリン膜は、まさに天然の絆創膏です。外部の細菌や刺激からデリケートな傷口を守り、その下で新しい皮膚(粘膜上皮)が再生するための、安全な環境を提供してくれているのです。つまり、噛んだ跡が白くなっているのは、体が正常に治癒プロセスを進めている証拠であり、順調に治っているサインと捉えることができます。この大切なフィブリン膜を、気になって舌で触ったり、無理に剥がしたりしてしまうと、治りが遅れたり、感染のリスクを高めたりすることになります。白い膜が自然に剥がれ落ち、その下に新しいピンク色の粘膜が見えてくるまで、優しく見守ってあげることが、最も早く、きれいに治すための秘訣なのです。