朝起きると顎がだるい、食事中にカクカクと音が鳴る、そして、ひどい時には口が指2本分も開かなくなってしまう。そんなつらい症状を伴う「顎関節症(がくかんせつしょう)」は、今や多くの人が抱える現代病の一つです。この顎関節症の悩みは、一体どこに相談すれば良いのでしょうか。その答えは、まさしく「口腔外科」です。顎関節症は、顎の関節や、その周りの筋肉(咀嚼筋)に問題が起きて、痛みや開口障害、関節音といった症状が現れる病気の総称です。その原因は一つではなく、歯ぎしりや食いしばりといった癖、ストレス、噛み合わせの異常、そして不適切な姿勢など、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。口腔外科では、この複雑な病気に対して、専門的なアプローチで診断と治療を行います。まず、診断のために、丁寧な問診と触診が行われます。いつから、どのような症状があるのか、生活習慣やストレスの有無などを詳しく聞き取り、顎の動きや、筋肉の圧痛点などをチェックします。さらに、レントゲン撮影によって、顎の骨の形に異常がないかを確認します。より詳しく関節内部の状態を知る必要がある場合には、大学病院などでMRI検査を行い、関節の中にある軟骨(関節円板)の位置ズレなどを調べることもあります。これらの検査結果を総合的に判断し、顎関節症のタイプを診断した上で、治療方針が立てられます。治療の第一歩は、多くの場合、保存療法から始まります。まずは、顎に負担をかけるような癖(頬杖、うつ伏せ寝など)をやめるための「生活習慣指導」や、筋肉の緊張を和らげるための「マッサージ、ストレッチ指導」などが行われます。そして、最も一般的な治療法の一つが、「スプリント療法」です。これは、患者さん一人ひとりの歯型に合わせて作製した、マウスピース(スプリント)を、主に就寝中に装着することで、顎の関節を安静な位置に保ち、筋肉の緊張を緩和させる治療法です。痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤などの薬物療法が併用されることもあります。ほとんどの顎関節症は、これらの保存療法で改善しますが、ごく稀に、関節の癒着がひどい場合などには、外科的な手術が必要となることもあります。顎の悩みは、我慢せずに、まずは口腔外科の専門医に相談することが、解決への近道です。
顎が痛い、口が開かない!顎関節症は口腔外科へ相談を